異端者たち:アナザーストーリー(時系列3)
- DOYLE

- 2019年6月14日
- 読了時間: 2分
更新日:2019年6月15日
「顧問P様、ミコエル教が雨乞いの儀を行うとの情報が入りましてございます。」
走って来た兵士が告げる。
「すでに吟遊詩人から聴いている。あいつ、惜しげも無く歌をくれてやるらしい。全く……自分のことしか考えない詩人も困ったものだ。」
「どうなさるおつもりで?」
別の声が響く。
「闇姫Pか。いや、せっかくだ。雨が本当に降るかどうか確かめてやるのも一興かと思ってね。」
「顧問Pともあろう者が、随分と悠長に構えておいでですね。部下の中には痺れを切らしている者もいるというのに。」
「ミコエル教に手を出すのはまだ早い。アレに手を出すということは神と喧嘩をすることだ。急いては事を仕損じると言うだろ?」
「兵は神速を貴ぶ、とも。」
「随分とつっかかってくるな、闇姫P。ああ、兵士くん、報告ご苦労。下がっていいぞ。」
そう言って、手を振る動作をする。
「か、かしこまりました。」
兵士は立ち上がり部屋を出た。
2人の間に走る緊張感にやられたのか、兵士の足取りは重い。
別の声の持ち主がこちらを振り向く。
「今日は面白い手土産を持って来たんだ。どうやら転生者が来たようだよ。」
顧問P、闇姫P……彼らは雨乞いの儀、ミコエル教に、いや、世界のすべてに敵対する者。
だが、彼らの存在はまだ闇の中。
光があれば闇がある。光が強くなればなるほど、闇はその暗さを増す。
光が強くなるほど、闇はその姿を隠し、ますます見えなくなる。
彼らの作戦はまだ始まったばかりだ。
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