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海洋の国「プリズム」:アナザーストーリー(時系列9)

  • 執筆者の写真: DOYLE
    DOYLE
  • 2019年6月15日
  • 読了時間: 3分

深海の国『プリズム』

ぐへへPの治めるセレスティアに隣接する海ムーンアイズの深海に位置するこの国は、多種多様な海洋種族が暮らす海の楽園である。

国の周りが不規則な海流に囲まれているため、外敵の侵入が困難である。

レミルメリカのすべての海はひとつに繋がっており、プリズムがそのほとんどを統治する。


セレスティアが陸上最大の国ならば、プリズムは海中最大の国。


国という名前を冠しているが、国王はいない。

他種族にわたる海洋種族をまとめるために特定の種族にだけ強い権利を渡すことを嫌ったからだ。


そのため、プリズムは複数の種族からなる「海洋評決議会」を結成しており、年に数回の定例議会をもって国の方針を決めていた。


そして、今回、トカゲアザラゴンという脅威に加え、『一部の海洋種族の離反』『禁忌とされている同種族間での殺し合い』というプリズム建国以来の事件が起きていた。


それを受けて、セレスティアとの会談を行うことが決められたのである。


「セレスティアは会談の申し出を受けてくれるだろうか……。」



独り言を呟く程に私の心は落ち着かない。

評決議会では滞りなく話が進んだ。

プリズムが抱える問題は国内だけでは解決が難しいという判断だ。

特に海洋種族の離反は議会にとって大きな問題として認識されていた。


彼ら海洋種族は、一部の能力は制限されてしまうものの、陸上でも生活できる。

それ故に、離反した海洋種族が陸上に逃げた場合、彼らだけで探すのは困難になる。


今回、セレスティアとの会談を行うのも、離反した海洋種族の捕獲に力を貸して欲しいという要望を伝えるという目的が大きい。

セレスティアへの見返りには、最近、噂になっている「例の4人」の情報収集に協力するということを伝える予定になっている。


先日、雨乞いの儀の協力を得るために国を訪れていたモケケという者がそう言っていた。

ミコエル教の中でも中枢に近いと言われるモケケが、なぜそのような情報を流してきたのか真意は分からないが、例の4人の話が本当ならもはや一国の問題ではない。



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(written by 立花いな実)


「使者を送る準備をしなければ……。」


気が重い。

どうにもこういう責任がのしかかる役割は気乗りしない。

そもそも離反した者たちをわざわざ捕らえて裁くという考えも好ましくない。

敵対する者は亡き者にしなければ、その脅威は消えないと思っているのだ。


そもそも、私にこんなことに時間を割いている余裕はない。

我らの種族の存亡に関わる問題を抱え、他にやらねばならぬことがあるのだ……


この「しょこらどるふぃん」にはな!


「誰かおらぬか!セレスティアに使者を出す。今すぐ、準備せよ!」


しょこらどるふぃん。

プリズムの海洋評決議会の一角。

その名の通り、イルカの海洋種族である。

青いイルカの姿、黒い双眸、魚類に類する背ビレもある。



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(written by 立花いな実)


海洋種族は、魚類から独自の進化を遂げているため、厳密には魚類ではないのだが、今はそんなことはどうでもいい。


しょこらどるふぃんは、セレスティアへの書簡を認めるため、自室へと泳いでいった。

 
 
 

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